フットサルマガジンPivo! 2004年5月号 第6回関東リーグ FUTSAL MAGAZINE PIVO!

フットサルマガジンPivo!の取材内容

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「第6回関東リーグ」

「第6回関東リーグ」

日本フットサル界の最高峰、関東リーグが開幕した。昨季初参戦で優勝を飾ったシャークス。無敗優勝の経験を持つ、カスカヴェウ、ファイルフォックス。大型補強を繰り返すプレデター。はたまた、思わぬ伏兵の登場はあるのか。昨季同様、今年の優勝戦線も熾烈を極める。

ルーキーZOTT終盤、怒濤の3得点

5−2.後半途中までのスコアに、観客は誰もが妥当な結果になると思っただろう。前の試合、もう1つの参入チーム・ブラックショーツが0−7でカスカヴェウに惨敗。関東リーグのレベルの高さを改めて認識させられる戦いだった。そして、王者シャークスの登場。今季参入のゾットは、個々のレベルや基本的技術は高いが、この試合はチームとしての粗さが目立った。速攻から数的優位を作っても、稚拙な攻撃でチャンスを生かすことができない。終盤まで5−2、完全にシャークスのゲームだった。試合も決まりかけた終盤、ベンチからタイムアウトを取ったゾット・清野は言った。

「来たくても来れない奴とか、走りたくても走れない奴もいるんだぞ。走れるんなら、走ってくれよ!」。チームの誰もが待ち焦がれた関東リーグ、大阪から当日早朝に来る選手も、それさえ許されず、仕事で来られない選手もいた。檄を飛ばした清野は、1週間前に足を骨折していた。この一言でゾットの雰囲気が一変した。シャークスのお株を奪うハイプレスを仕掛ける。厳密にいうと、シャークスのように計算されたものではない。ただ、がむしゃらにボールを追っていた。

さらにゾットに追い風が吹く。シャークスの大黒柱・松村が退場。 慌ただしくなったチームを、シャークスは落ち着けることができなかった。プレスをかいくぐって攻撃に転じ、ボールを奪っては、速攻を狙っていた。落ち着くはずもなかった。流れを掴んだゾットは、この打ち合いに勝った。鮮やかな攻撃から、わずか1分で3点を連取。完全な負けゲームを同点まで持ち込んだ。

勝ち点3を逃したシャークス。「若いチームだからね、先に叩きたかったんだけど」と松村は悔しがりながらも、笑みをたたえていた。「去年は最悪のスタート(フトゥーロに逆転負け)だったから。まだまだ全然」。チームは引き分け、自身も退場となったが、切り替えはできている。一方のゾット。昨季王者からもぎ取った勝ち点1は相当の自信になったようだ。この日2得点の松田は言う。「2年前の(全日本)選手権予選で負けたとき、『このチームには絶対勝てないな』って思ったんです。でも、強いチームと試合するようになって、精神的に成長できました」

今年は松田の言う“強いチーム”との戦いが続く。ゾットにとっては、今までになく敗戦の多い1年になるかもしれない。清野も「気を抜いたら全部負ける」と現実的な物言いもする。しかし、負けが込んでも、それが成長の糧になることは間違いない。  終盤1分間の爆発力を見せられて、若いチームの行く末に期待を込めずにはいられない。